WCE blog

早稲田大学公認 総合デジタル創作サークル 早稲田コンピュータエンタテインメント

どこかに心のオアシスを 【2021年WCE新歓ブログ 第九回】

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初めまして。WCE第10期DTM班のTräneです。 よろしければ私の話にお付き合いください。

 

突然ですが皆さんは「雨」が好きですか?

 
恐らく多くの人が共感する理由

近視に加え乱視も酷く、さらに偏頭痛に悩まされている私は気圧の変動に敏感です。 視力0.1を優に下回る私にとって眼鏡やコンタクトは必需品なのですが、天気が悪いと実際の度数がずれてしまい焦点が合いません。 焦点が微妙に合わない状態が続くと眼精疲労が悪化し頭痛も起きます。 湿度が高いことで吸い込む息も重く、気圧とは裏腹に身体に大きなおもりが乗ったような感覚です。

 

ざっくりと話せば以上の理由で雨というものが憎いほど嫌いなわけですが、さすがに嫌いの一点張りでは終わりません。

 
思い出

皆さんは「雨音はショパンの調べ」という曲をご存じですか? 元は1983年に発表されたGazeboの"I Like Chopin"という曲で、日本語の歌詞を松任谷由実が手掛け小林麻美が歌唱した1984年の名曲です。

私がこの曲を初めて聴いたのは2009年のことでした。レンタル屋で借りた1980年代の名曲オムニバスアルバム。それに収録されていたこの曲を聴いたとき、子どもながらに「こんなに悲しい恋があるのか」と思うと同時に、「この人は誰に恋をしていた(している)のだろう」という疑問が生まれました。単に失恋を描いたものだとすると、原曲"I Like Chopin"に付けた歌詞であることに違和感があったのです。「でも流石にChopinに恋する歌とは考えられないよなあ」なんて。我ながら子どもの想像力は途方もないと感じます。

 
わがままな解釈

考察、批評は客観性を要するものなので、ここではあくまで主観的な「解釈」をお話しさせてください。先に申し上げると、私は歌詞の考察サイトを閲覧しません。何より私の中でその作品の「かたち」が揺らぐのが怖いですから。このようなことを言いつつ考察じみた何かを広めんとするのは、私の承認欲求が肥大したなれの果てに他なりません。醜いものです。

くだらない話は止めにしましょう。皆さん是非一度ご自身で歌詞を調べてみて下さい。

 

この曲の歌詞はメロディの中に降る雨のように散りばめられています。反対に雨の中打ち消されるほどに弱々しくこぼれ出た声とも取れるでしょう。どちらにしてもそこにいる人の動きから染み込んでくる儚さに私は心を打たれるわけです。

Chopinで雨と言えばPrelude Op.28, No.15、日本語では「雨だれ」として知られている楽曲を連想します。雨音が思い入れのあるこの曲を心に巡らせ忘却を許さないのでしょう。言葉ではこれを拒んでいますが、誰かとの今までを無かったことにするつもりも無いのだろうと思います。未練とはそういうものですからね。

歌詞中一番の最後「気休めは 麻薬」とあります。放送コードに抵触したフレーズで一見物騒ですね。もし「気休めは麻薬(に限る)」という含みを持った表現ならば大事ですね。と言いつつも、私は案外間違いではないと思うのです。もちろん「麻薬」は何かの暗喩だと思いますが。心にこびり付いて離れない離れられないものから逃げる手段として表現されているとすれば合点がいきます。いつか真に心が晴れる日は来るのでしょうか?私にはこれ以上わかりません。

 
少しだけ私の話を交えて

敢えて目次は付けなかったのですが、ここまで読んでくださった皆さんありがとうございます。

私の初回記事ということで私自身のハンドルネームについてお話しします。

"Träne"は「涙」を意味します。一度溢れ出た涙はどちらを向こうと頬を伝いこぼれます。これでは上を向いたところで仕方がないと思いませんか?そもそもハンカチで拭うほうが早いですし、何よりはたから見て不自然です。それなら足元の何かに躓いてしまわないように、そしてなるべく自然に振舞えるようにと私は思うのです。涙は感情を吐き出しリセットさせる良い薬です。そんなわけでWCEではあるがままの私であるためにTräneと名乗っています。

 

最後にサークルの新歓についてのお話です。既に入会した方、しないと決めている方、タイミングを逃したり悩んだりしている方などそれそれだと思います。猫のように気まぐれで兎のように寂しがりやの私は、ここWCEを心の拠り所としています。サークルに限った話ではないですが、どうか皆さんにもどこかにそんな心の拠り所が見つかりますように。

叶うのならばそれがここでありますように。

〈了〉