銀の弾丸について【2021年WCE新歓ブログ 第二回】
こんにちは。WCEの李(リー)です。今回はゲームバランス、特に”銀の弾丸”について書きます。
銀の弾丸とは
銀の弾丸は普通の弾丸が効かない吸血鬼や魔女にも有効である、という伝承があります。そこから転じて「普通の手段では厄介な対象に一矢報いる物」をさします。
今回は意味の幅を広く取り「特定の対象に対して通常より効力をもつもの」とします。例えばポケモンにおいて炎タイプに水タイプの攻撃が抜群というものです。
「銀の弾丸」のゲーム性への影響
では「銀の弾丸」がゲームの厚みに与える影響を考えていきます。
RPG(家庭用ゲーム)において
RPGにおいて属性相性はよく採用されます。これはRPGというゲームの形態に深く関わっているからです。
まず、RPGでは成長させる楽しみ、物語を進める楽しみ、戦闘を体験する楽しみの3つがゲームの面白さの大部分を占めています。しかし、多くのRPGにおいて戦闘する楽しみは実質的に「HPを管理するダメージレース」のみとなっています。もちろん、「ドラゴンクエスト」ではスカラやバイキルト、「ポケットモンスター」ではてっぺきやつるぎのまい、といった補助的な効果を持つ行動があり、それらが対人戦において大きな影響を与えることは認知しています。ただ、ストーリー中での戦闘は「HPを管理するダメージレース」の意味合いが強くなっています。そしてここにおいて属性相性はダメージレースに戦略性を持たせるものになります。
属性相性が存在しない場合はヒーラーが回復を行い、アタッカーはとりあえず敵を殴るだけのものになりますが、(もちろんその中にも倒す敵の優先度などの要素はあります)ここに属性相性が加わることによりそれぞれの役割が細分化し、AがBを殴り、CがDを殴る、といったように行動選択の価値に差を持たせることが出来ます。ただし、その状況下においても攻撃パターンの固定化が起きてしまうという危惧は残るということも意識する必要があります。
今回はRPGの戦闘のゲーム性の問題について多く触れていますが、そもそもRPGというジャンルは戦闘そのものに対し複雑さを求めるのではなく全体を通して冒険を楽しむという要素を重視する必要があるかもしれません。また戦闘が複雑でないことでグラフィック、ミュージック、雰囲気をより味わえるという利点が存在することも意識する必要があると思います。
ソーシャルゲームにおいて
まずそもそも、ソーシャルゲームに深いゲーム性を求めるのが必ずしも正しいことではないと提起します。ソーシャルゲームの楽しみの形態としてはゲームそのものの雰囲気を楽しむことはもちろん、自分の好きなキャラクターやストーリー、ガチャ、およびそのゲームを通して生まれるコミュニティを楽しむことが重要であり、ゲーム性がどうかは重視されにくい部分です。そのため素材集めの周回に連打ゲーなど従来のゲームではあまり肯定されていない行為も存在しています。ただ、それを通じて進化素材を集めて育成する楽しみが存在することも述べておきます。また、PUBGなどのFPSやクラッシュ・ロワイヤルなどのeスポーツ的なゲーム性を持つゲームも存在することも述べておきます。ただ、一般的なソーシャルゲームでは深いゲーム性があまり求められていないことをここで確認します。
では本題の「銀の弾丸」について見ていきます。
ソーシャルゲームではよくユーザーを課金に誘導するため、つまり新しい何かを手に入れようと思わせるために、既存のキャラクターや武器では突破するのが難しいギミックを持たせたステージが登場します。そしてそれと同時にそのギミックに特攻効果を持ったキャラクターがガチャ画面でピックアップされます。新ギミック登場→それに対抗できるキャラクター登場、が繰り返されることにより、AにはBを使えば勝てる、CにはDを使えば勝てる、という非常に単純な状況が生まれてしまいます。つまり、この「銀の弾丸」はゲームに奥行きを与えているのではなく、ただゲームの情報量を増やすだけなのです。ゲーム性という意味ではあまり好まれるものではありません。知識を得てそれを使うという楽しみが生まれているのは確かですが、それは表面的なものでゲームシステムに貢献しているとはあまり言えません。ただ、先に述べた通りソーシャルゲームに深いゲーム性を求めるのは必ずしも正しくない、ということも意識する必要があります。
まとめ
「銀の弾丸」はゲームの要素として重要なものです。ゲームの形態によって奥行きを持たせることがあったり、また逆にプレイヤーの行動をある意味縛ってしまうこともあります。これらの特性を踏まえてゲームに組み込むといいゲームになると思います。(何様・・・)